今から15年前に遡ります。
ひょうんなことから大きなオートバイにまたがりたくなり、自動車学校に通い出しました。
それまでの修業時代、札幌と東京で通勤のため400CCのオートバイには乗っていましたがパワー不足は否めず。
地元のツーリングクラブには属していましたがみなさん大型バイカー。750ccや1000ccを超すバイクまでずらり。
国産メーカーはもちろんのこと、ハーレーやBMWなどそうそうたるバイクに紛れ、私の400CCバイクがエッチラ付いていくようなツーリングです。(笑)
たとえば、信号待ちし、大型バイクにまたがったツーリング仲間はギアをローに入れ発進しても軽く80kmくらいまで出てしまいますが、私のバイクではギアをロー、セコンド、と上げていかなくてはその速度には付いていけません。
また、オートバイの雑誌を1冊買っても読むページに制限があり、中型免許で乗れるバイクのページは凝視出来ますが、大型のバイクのページは欲しくなったところで免許が無いので、サササっとめくるくらいなもんでした。
そこで、限定解除免許→大型バイク→男のロマン(あくまでも私のモノサシです) みたいなのが心に芽生え一念発起し、嫁に頼み込んで学校に通い出したのでした。
とはいっても仕事をしながらなのでそう簡単にはスケジュールが合いません。
ましてやまた私の勝手なロマンのために業務に穴を開けるわけにはいきません。(笑)15年前に中型自動2輪を取ってからのブランクもあります。
現場を離れることが出来るのは飲食店ということもあり、ランチタイムの料理提供が落ち着く13時30分を回った頃。
また、当時の自動車学校はこんな条件でした。
学校のお昼休憩が14時から15時までの1時間。
規定上、一日2時間しかバイクに乗る事(実技)が出来ない。というもの。
タイミング良く、14時に行ったところで学校は休みですし、おまけに一日2時間じゃなかなか技術も身につきません。
よって考えたあげく………………。
車に自転車を積んでいくこととしました(笑)
学校に自転車?
そう自転車です。それも通称「ママチャリ」。
車にギュウギュウに押し込みましたね。
私が自動車学校に着くのが14時過ぎ。学校のコースは休憩中なので誰もいません。
ということは貸し切り状態です(笑)チャンスですね。
よって、15時までの休憩時間は覚えなければいけない3つのコースを頭に入れながら周回を繰り返します。
ママチャリにまたがり、エンジンを掛ける動作をしつつ、ギアをローに入れるつもりでクラッチに扮した前ブレーキを抑えつつ、自転車のペダルを下げます、同時に後方確認、左右を確認して発進。
少しこぎ出したら、ペダルを上げる動作をしながらセコンド、サードに上げる。
標識を意識しながら直線ではギアをトップに入れると同時に全速力でこぐ。(汗が結構でますヨ)
一本橋を渡るときにはギアをローに入れたつもりで渡り抜き、スラロームやクランク、S字などをやりながらギアを入れるタイミングを見計らう。
一番大変なのは坂道の踏切。(笑)
踏切の手前で一旦停止。坂道発進なので確認と同時に自転車をこぎ出し、頂上の踏切を渡り切ります。
ハァハァ言いながらやっておりました。
進路変更も、どのタイミングでギアを上げるのか?どこのカーブはこの段階でギアを落とすのか?
等を徹底的に頭にたたき込みました。
良く、各コースの地図に「ここはギアを○に上げる」とか「ここはブレーキ」等と書き込む方もいらっしゃいますが、
私は書いても頭には入らず、身体で覚える方。
ましてや試験当日、そのメモ紙である地図を見ながら走ることなんか出来ないわけですから、自転車のグリップをバイクのグリップに見立て、汗を流しながら身体にたたき込んだほうがいいと思ったわけです。
そんな練習をほぼ一週間繰り返し、学校のお昼休憩が終わる15時から17時までの2時間は本物のオートバイに乗って通常の生徒と一緒に練習するわけです。
もちろん自転車とバイクは大きく違います。エンジンが付いてるわけですから。
しかしおかげさまで、コースはかなり頭にたたき込んでいたので、他の方のようにコースを覚えながら、バイクの操作も覚える。ということからは1つ解放されているので、徹底的に「バイクに馴れる」だけで良いわけです。
また、日曜日は休校なので業務の合間を縫って、いつもより長めに自転車で練習をさせて頂きました。
その男のロマンを求め、学校入学から8日目(毎週日曜は休みなので)。試験当日、午前。
確か7名くらいの受講生がいたかと思います。
男性が4人。女性が3人ほど。看護婦さんや主婦もいましたね。(女性の小さい身体で大型バイクなんて、すごいな〜って思いました。)
私は試験5番目。
最初の4人はすべて、ダメっぽかったようで、途中でスピーカーで「指定されたコースと違います!」と、注意を受けたり、試験途中でスタート地点へ返されたり………と。
直接言い渡されはしないものの、この時点で不合格が何となく解ります。
で、いよいよ私の番。緊張もマックスです。今でも忘れもしない得意の「第1コース」の走行を命ぜられました。
いつも、自転車でやっていたようにエンジンを掛け、始動動作を行い発進。
後ろから車で付いてくる試験官のためにも交差点の確認は目視で確認というより、大げさにヘルメットを左右に振り、「確認したよ!」というのをアピールします。
後方確認も普段の運転ではしないような大げさな動作。
後ろの教官が「あっ、確認してるな!」と解るくらいのオーバーアクション。
オートバイには今どのギアが入っているか?というのを知らせるためにローは青色、セコンドはオレンジ、サードはグリーン、というふうに試験官が一発で解かるようライトがバイク後方に装備されているので、変速ミスもごまかしも許されません。
ここも、変速がギリギリにならないよう、順を追ってギアをシフトアップしたり、シフトダウンをします。
注意すべきは機械が採点するのではなく、人間が採点するということ。
試験官が解りやすいようなパフォーマンスを心がけたということです。
そんなことを意識しつつ何が何だか空白のまま、ひと通りのコース走行を終えゴール地点へ。
この段階では試験官から合否は言い渡されませんが、受講生の待つスタート地点へ。私の走行を見てた他の生徒さんからは「スゴイ!」と拍手を受けたほどです。とても嬉しかったのを覚えてます。
いよいよ、午後から学校内で合格発表。
ありました!私の番号が!!
まわりからは「1週間で、取ったのは軌跡だ!」と言われ、現に担当教官からは1週間で取ったのは教官在職中、私が初めてとのこと。
私も軌跡だと思ってます。
これで晴れて、オートバイ雑誌が一冊、隅から隅まで読めるようになったわけです。
しかし……………。ここから欲望の芽が。。。。(笑)
帰り道はそのままバイクショップへ直行。
男のロマンが今度はバイクを買う為の「野望」へと変化していくのでありました。
【まとめ】
- 学校の昼食タイムはチャンス!自転車で練習すべし。(自転車が無理なら歩きながらでもコースを回るべし)
- 試験当日はオーバーアクション。試験官に確認動作をはっきり解るように伝えること。
- ギアチェンジは明確に。どのギアに入れて運転してるか、試験官はつぶさに見ています。試験場のコースは短いので早め早めのギアチェンジを心がける。
- 日曜などの休校日は逃さない。練習三昧すべし!