忘新年会シーズン。宴会無断キャンセルを無くす方法。ITを使った防衛策続々登場!

昭和40年代の年もおし迫ったある日のこと。

田舎の小さな寿司店に電話が鳴った。

店主が電話に出て忘年会の予約であることを確認する。人数は30人少々。

当時で一人3000円の宴会。人数も30名となると、お料理だけで9万円の売り上げとなり、この小さな町では大きい宴会の部類に入る。

家族経営の店ではこれぐらいの売上が立つと精神的にもやわらぎ、従業員さんの給料や明日の仕入れのためにと、また活力が湧いてくる。

そして、宴会予約の当日を迎える。

店主はいつものように市場に出かけ、魚の下処理、柵取り、突き出しの仕込み、揚げ物の準備、焼き物やそれに一緒に盛るあしらいものの仕込みをして、お客様が料理を食べる時間に合わせ寿司シャリをスタンバイ。

宴会開始1時間前に酒屋さんから30名分の飲み物が届き、いよいよ宴会スタート。

…………..と、なるはずでした。

予定時刻の15分を過ぎ、30分を過ぎ、一向に宴会の団体が来ない。

頂いた電話番号にこちらからかけ直してみます。

ところが「現在使われておりません….」と、受話器の向こうから音声が響くばかり。

「やられた………。」

 

………….これは架空の話ではなく、私がまだ小学生の頃、実際に当店であった話です。

人口1万人そこそこの小さな街で、従業員さん2名と父と母が切り盛りをしている小さな寿司店の長男として私は育ちました。

朝早くから遅くまで働く、両親の後ろ姿を見ながら、大きくなったらいつの日か料理人になることを夢見ていたのです。

ただ、このようないたずら電話一本で食材費やこの日のためにスタンバイをお願いしていたアルバイトさん等の人件費も吹っ飛びます。

せっかくお客様のことを考えて作った料理もなにもかも、この日の宴会のタイミングに合わせて…..。

その時に見た、悲しい父や母の顔は忘れられません。

次の日に使いまわしが利くはずもなく、近所に配ったり、最終的には残った料理は捨てる羽目に。

そして、虚しい思いをしながら料理を盛り付けた器の洗い物や宴会場の後片付けをするのでした。

こういった話は一度や二度では有りません。

ある時は20人前のお寿司を出前として注文され、届けた先は真っ暗。最初は日にちを間違えたのだろうか?そう思いながらも、伝票の確認。そして受け付けた番号に確認の電話を入れます。

まさかと思っていたことが繰り返されました。

こんなことを数回聞かされ、子供ながらもやり場のない悲しさと無念さがこみ上げてきました。

悪質化するノーショー

ノーショーとは「No Show」と英字で書き、「予約をしたにもかかわらず現れない客」を意味するものです。

最近のニュース記事を見ると憤りを感じます。

これも酷かった….。

仕込みの大変さ

我々飲食店は食べ物を扱って生業をさせて頂いております。

こんな言い方は生意気で失礼かもしれませんが、右から左へと仕入れた商品を売るのではなく、我々は朝の仕入れから始まり、仕込みをし、お客様が来られる時間に合わせ、料理を作り、それを商いとさせていただいています。

殆どが生鮮品のため品質には限界があります。早く調理をしなければならない。

また、一方では3Kやブラック企業の代表格と称され、従業員さんの採用もままならない中、日本全国の飲食店経営者が日夜、頑張っていることと思います。

そんなことを知ってか知らずか上記のような、宴会予約をして当日現れないお客様や 「いたずら予約」と称して弁当の注文をそのまま取りに来なかったりという耳を疑うようなニュースが入ってくることも最近は多くなってきたように思います。

そういったニュースを目の当たりにするたびに父の後ろ姿を思い出し、なんともやりきれない想いに駆られてしまいます。

犯罪の範囲は?

被害額が大きいとか小さいとかそういうことではなく、いたずら半分に電話した受話器の向こうで、料理人がどんな思いで料理を作っているのか想像して欲しいです。

故意の場合はもちろん犯罪として検挙されますが、幹事さんが掛け持ちで予約を入れ、「うっかり」忘れた場合は罪にはするには難しいとのこと。

特に忘年会といいますと、会場を2箇所抑え、参加者に希望を聞いて一箇所に絞り、もう一箇所のキャンセルを忘れてしまった….。なんてこともあるようですが、この辺は当事者に請求するしか手立てはありません。

ほとんどの店が泣き寝入りするしかないのが現状ですが、この問題、クレジットカード会社が試算し、国などが発表したもデータによると、全国で年間2,000億円にも上るそう。

こういった悪質な詐欺行為は許すことはできないのはもちろんですが、それ以上に我々飲食店側もスキを作ることのないような経営をしなくてはならないと感じた次第です。

防衛策は?

やはり念には念を入れて確認。というところですが、弊社の場合は宴会の前々日に再度幹事さんに電話を入れる、ということしかしておりません。

お店によっては「キャンセル料を明記する」「宴会費用の一部もしくは全額を前払いしていただく」なんていうお店も最近出てきたようです。

が、大都市圏などこういった「ドタキャン」が多いエリアはもっと進んでいます。

1.通知システム

予約お知らせ君

来店予約日時と電話番号を登録して、予約前日17時にSMSを送信するサービスです。

ただ、上記では物足りないという方はこちら

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2.予約システムの進化
テーブルソリューション
新たなITツールとして、上記の機能に加えて電話やネットと連動し、予約が入るとお客様の携帯電話などに、ボタンひとつでメッセージを送信できます。
お客様が、届いたメッセージを開くと、クレジットカード情報の入力画面が現れ、入力して、はじめて予約が完了するというものです。「無断キャンセル」が発生した場合、カードからキャンセル料が引き落とされるという仕組み。ナカナカです。

3.他のお客様を見つけるシステム
さらに、無断キャンセルが出た場合、他の客を見つけるというシステムの開発も進んでいます。
現在、都内の飲食店、店舗で導入試験中です。

無断キャンセルが発生した場合、店側はリアルタイムで空席の情報をシステムに載せることができます。

すると、専用の検索アプリが瞬時に更新され店を探すお客さんに情報が届くのです。

4.予約を無断キャンセルしたお客の番号を共有するサイト
予約キャンセルデータベースが、ネットで注目を浴びているそうです。

予約キャンセルデータベース 

サービスでは、予約を連絡なしにキャンセルしたことがある人の電話番号を、店舗が事前に調べられる。運営者にメールしてID・パスワードを発行してもらえば、どの店舗でも無料で利用可能。ログイン後に使える機能は2つ。予約を無断でキャンセルした人の電話番号を登録する機能と、既にデータベースに登録されているか番号を検索ボックスに打ち込んで確認できる機能だそうです。

まとめ

どう転んでも多大な損害を受けるのは飲食店側。

各種のツールを使うのも良いと思いますが費用もそれなりに掛かるものです。

差し迫った忘新年会シーズン。

万が一、訴訟となっても時間や費用を要します。飲食店に取りましては書き入れ時ではあるものの予約担当の方は念には念を入れて慎重に対応したいですね。

この記事を書いた人

鈴木 賢司

鈴木 賢司

昭和41年生まれ。地元高校を卒業し札幌東京へフレンチを志し修行。

家業である実家の飲食店に帰って20数年。気がつけば社長でした(笑)

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