飲食店の生産性アップ!電化厨房の試みを北海道電力の情報誌に掲載されました。

ある日の午前。事務所に一本の電話が鳴った….。

事務員さん「社長。ほくでんから電話です。」

わたし「ほくでん???電気はちゃんと料金は払ってるよ(笑)」

なんてやり取りがあった5月のこと。

電話を替わるとなんでも弊社で取り組んでいる「電化厨房」の話を聞きたいとのこと。

 

 

……..今から遡ること約25年くらい前のお話し。

当時は電化厨房を推進していたというわけではなく、使いたい厨房機器が「電気」しかなかったというのが本音でした。

電化厨房(でんかちゅうぼう)というのは聞き慣れない貴兄がいらっしゃるかもしれませんが業界ではポピュラーな用語。

一般的な厨房機器の加熱機器といえば「ガス」なのですが、最近は高出力の「電化製品」もお見受けするようになりました。

一般家庭では「IHヒーター」なんかもありますよね。

業務用はああいった類の「大容量版」と考えてください。

その中でも昨今のキッチンの中に鎮座する「スチームコンベクションオーブン」が席巻し始めましたのが今から25年ほど前。
(一時期話題になりましたシャープのオーブン「ヘルシオ」の業務用と言ったほうがわかりやすいかもしれません)

このスチームコンベクションオーブン、略して「スチコン」と呼びますが当時は電気式しかなかったのですね。

また、調理の新御三家ということで、この「スチコン」「真空包装機」「急速冷却器」なんかが脚光を浴びるようになり
新調理として真空調理法やクックチル、クックフリーズなんかの用語が出てきたのもこの頃かと思います。
(業界以外の方、申し訳ありませんが本日は用語についての説明は割愛させていただきます)

これらはすべて高圧電力である200ボルトの電源が必要になりました。

そんなことで料理人の端くれとして、「時代に乗らなくては….」という思いと、「使ってみたい….」という衝動に駆られ
思わずヤフオクで中古のスチコンをポチったりしたわけです。

その中で実際に調理して衝撃を受けたのが、今も忘れられない先に述べた「真空調理法」でした。

要は真空の袋に肉を入れて動物性タンパク質が凝固する温度帯である60度前後をキープしながら低温で時間をかけて調理するというものです。
(実際には食材に応じて微妙に温度は変えますが….)

そこで出来上がったローストビーフやローストポークがジューシーなこと!!

まるで次元が違いました。

修行時代といえば、我々料理人は温度計のないオーブンに手を入れて、感覚的に「今だ!」とばかりにタコ糸で縛った牛肉と香味野菜を入れ
ある程度の時間になったら、先輩なり料理長が肉の中心に金串をブッ刺し、下唇の下に当てる….。
(ここが一番人間の体の中で温度に敏感な部分だそうです)

そうして、ローストビーフを絶妙な焼き加減で仕上げる…というのが料理人の一つのステイタスでもありました。

それが今や、温度管理のボタン調整さえ間違わなければ熟練の職人もペイペイの新米料理人でもさほど開きはなくなってまいりました。

で、話しを弊社に戻します。

私も格好良く言えば「オーナーシェフ」(笑)

とは言っても、現実は朝から晩まで厨房の中を行ったり来たり、加えて事務仕事。夜は加齢もあってヘロヘロに…。
そして月末になると請求書の山と格闘し、支払いに追われる身であります。

我々中小にも満たない零細飲食店はよほど効率化を図らない限り、生産性は上がりませんし、利益だって残りません。

それでなくとも「労働集約型ビジネスの代表格」と揶揄され、おまけに「飲食業=ブラック企業」というレッテルを貼られる始末。

昨今の働き方改革ではありませんが料理に手をかければかけるほど時間がかかるのは当然であって
それをビジネスという側面。雇用という側面。両方のバランスを図るにはなかなか経営センスが要求されるものです。

しかしながら、センスのない私でもなんとか人口6000人のこの田舎街で商いをさせて頂けているのはこういった道具である厨房機器の進化であると思っています。

昭和初期のように、人の手でなんでも感覚的に作っていたのでは何時間あっても足りませんからね。

ましてや今はどんな業界も人手不足。猫の手も借りたいくらいです。
でも、料理のクオリティーは下げたくない。誰が作ってもある一定水準は保ちたい・・・・。

そんな厨房機器を新品、中古品と織り交ぜながら資金力のなさをカバーしつつ、気がついたら電化厨房になっていた…という、今回の話しであります。

もちろんガス器具はガス器具の良さはありますので、弊社の場合は電気機器と併用しています。

ただ、電気は安全性が高いということ。

今やっているのはビーフシチューの仕込みを寸胴鍋で煮るのではなく、スチコンで深夜から朝にかけて煮るということ。
こちらは以前の動画↓でもご紹介致しました。

さすがに誰もいない厨房でガスの炎で煮るということは出来ませんものね。

こんな感じで空き時間をいかに活用するかも電化機器の恩恵を受けておりますし、少ない人員でもぎりぎり回せているのはそれらのおかげです。

職人が感覚的に作っていたものを因数分解して全て数値化することでパートさんでも美味しい料理が作ることができるようプログラミングします。

温度はもちろんのこと湿度もコントロールし、お客様が食べる時間を考慮しながらベストなタイミングで誰もが調理できる….。
を目指してきた結果、この度はほくでんさんの情報誌に掲載頂いた次第です。

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「人がいない」「生産性を上げたい」などを一緒に解決しませんか?

また、昨今のサラダ油高騰を真っ向から対策しませんか?
色々な切り口↓で乗り切りましょう!!

厨房屋さんの営業マンは自社商品を売ってなんぼです。当然ノルマや歩合給の絡みもあるでしょう。
私は一飲食店経営者として、厨房の最前線に立つ経験から必要なものしかおすすめしません。

だって、経営者として仕入れや資金繰りの大変さを知っているからです。

飲食店「ゆたか」を経営する北海道フードマイスター鈴木賢司が料理人ならではの発想、切り口で導入機器の稼働率、生産性を上げてまいります。
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この記事を書いた人

鈴木 賢司

昭和41年生まれ。地元高校を卒業し札幌東京へフレンチを志し修行。

家業である実家の飲食店に帰って20数年。気がつけば社長でした(笑)

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