飲食店設計建築の落とし穴。「設備設計」を考える。

設備設計ってご存知でしょうか?

飲食店を作る上での店舗設計というのは大きくデザイナーによるデザインの設計、それから建築士による構造の設計、そして給排気や給排水などの設備の設計に大きく分かれます。

デザインや消防法のからみで店舗の構造体には皆さん気を配るのですが、最後の設備設計にはあまり神経を使うオーナーさんがいらっしゃらないことが多いのに私は疑問を感じます。

この設備設計は目に見えない部分がほとんどです。

この設備も給排水の設計や空調の設計電気設備の設計に分けることはできますが、配管も作ってしまえば地中に埋もれ、なかなかお目にかかることはありません。

水やお湯だって壁の中を通ってくるわけですからどこでどんな風になってるかさえもわからないわけです。

そこで今日のテーマは厨房の空調の話し。

この厨房の空調は設備設計の最たるもので目には全く見えないため、なおざりになりがち。

実はここがウィークポイントなんです。

ほとんどの厨房では有圧換気扇(ゆうあつかんきせん)と言ってかなりハイパワーの換気扇が数箇所に埋設されております。

厨房で発生する煙や油、ニオイなど、かなりの量の空気を排出しているわけです。

吐くということはどこからか吸ってこないとならないわけで、厨房のどこかに吸気口と呼ばれる吸込口がないと、ハイパワーの換気扇ゆえにホール側の空気を厨房の換気扇がすべてを吸ってしまうわけです。

つまり吐き出した空気の量を「10」とすると、自然の摂理でどこからか「10」に値する空気を吸ってくるわけです。

夏ならばホールでせっかく冷やした冷房の空気をすってしまいますし、冬ならばせっかく温めたホールの暖房もこの厨房の換気扇が吸って外に廃棄してしまうのです。

あ〜〜、もったいない………。

なので厨房内だけで、プラスマイナス 「0」になるような空気の流れを作ってあげなくてはいけません。

厨房の換気扇で吸った分、厨房の室内で外気を吸ってくるような、そんな給排気設備が必要なのです。

そうしないと冷房や暖房に使う電気や灯油代がかさむばかりか、冷暖房機の稼働率が上がり故障にも繋がるわけなんですね。

よって、新築リフォームに関しては特にこの辺のところをぜひ見逃さずに厨房の空調設計も進めていただきたいと思うわけです。

もちろんこの辺はプロにお願いして、念には念を入れて確認するしかありません。

この設備設計で一番難しいのが私は焼肉屋さんだと思います。
特に無煙ロースターを使っている焼肉屋さんはこの空調コントロールを間違うとホールで温めた暖房を全てロースターがつってしまうわけで、いくら暖房を焚いても間に合わないということが冬場で起こって参ります。

設備設計はイニシャルはかかりますが無駄なランニングコストをかけないためにも、是非この設備設計も念頭において組み込んで頂きたいと思うわけです。

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この記事を書いた人

鈴木 賢司

昭和41年生まれ。地元高校を卒業し札幌東京へフレンチを志し修行。

家業である実家の飲食店に帰って20数年。気がつけば社長でした(笑)

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