飲食店の厨房設計。レイアウトの失敗が年間数十万円の無駄を生む。

たかが厨房されど厨房。

我々飲食店にとって心臓部と言えるのがこの厨房です。
厨房のレイアウト如何でオペレーションの内容がガラッと変わって参ります。

そもそもお蕎麦屋さんにはお蕎麦屋さんに適したレイアウト、洋食店には洋食店に合わせたレイアウトというものが必要になって参ります。

また、棚一つとっても、そこで働く方の方の身長を考慮して設置する高さを考えなくてはなりません。

この配置をちょっと間違えただけで、年間無駄に歩くロスは数千歩、もしくは数万歩と言っても過言ではありません。

厨房を動かすのは人です。
無駄な動きが1日50歩、100歩となれば年間営業日数にその歩数をかけることで無駄な労力が算出されるというものです。

これが自らがレイアウトした厨房をオーナー自ら切り盛りしているなら、まぁまぁ目をつぶるとしましょう。
頑張って走り回ってくださいとでも言いますが、経営者として人を雇用してその厨房を動かすとなるとこれは「まぁまぁ」というわけにはいきません。

その無駄に歩き回る時間にも、お給料が発生するわけですから。

そんなことで今回お客様からご依頼いただいたのは厨房のレイアウト。

この秋に向けてのリニューアル計画を色々と練っている次第です。

そこでオーナーさんが推薦する取引先の厨房メーカーA社と私がご紹介した厨房メーカーB社にそれぞれ図面を書いていただきます。

ところが厨房のプロと言われている厨房メーカーさんがしっかりと厨房内の寸法を測っているにもかかわらず、それぞれ縦横の長さが違うのは何故でしょうか?笑

そこで改めて私が現場に入り、実寸を測り直したり致します。

またある時はダンボールを組み立てて実際の厨房器具の大きさに見立てて箱を作り、その前に立ってもらって高さを確認して頂き、サイズ感を確認して頂くことも致します。

厨房メーカーさんはもちろん自社の製品を、売りたがります。

営業マンは上手に高い製品を提案してまいります。

自社ブランドの製品を置くわけですから、自社の工場の稼働率も少なからず上がるわけです。

当然、本社からも営業マンに対してノルマが掛けられてるわけで、本人も生活があるので頑張るわけです。

ただし私は現役の料理人の目線で、かつ経営者として、マシンのスペックや使いやすさ、熱効率、費用対効果などの回収性を考えて、厨房メーカーさんの提案を度外視した選定を行うこともしばしば。

ある意味、厨房メーカーさんを敵に回すわけですが、オーナーさんにとってどういう機器が最善なのかを一緒に考え、また現場の調理師さんと話を交えながら、限られた予算の中で進めて参ります。

出張先の飲食店さんからこんな声を聞くのも少なくありません。
「厨房屋に任せきりで図面を引いてもらったんだけれども、使い勝手が悪くてしょうがない。」などと。

厨房メーカーさんは厨房設備士と言う国家資格を持った方が設計士がパソコンのCADソフトで図面を引いていくはわけですがここで疑問が湧いて参ります。

厨房設備士さんはあくまでも国家資格を取っただけであって、図面を書くのはプロではありますが、残念なことに我々が戦場としている厨房で身体を使って仕事をしたことはないということです。

メーカーさんは自社の商品をいかに顧客に納入するかで営業マンの成績も変わってくるでしょう。

しかしながら我々飲食店は購入した厨房器具の支払いや水道光熱費や人件費などの固定費を賄いながら、営業利益の少ない中で生業をさせていただいているのです。

決して厨房メーカーが悪いわけではないのですが、ここは妥協できません。

そんなことで今年の秋リニューアルする、お付き合い先のお店が少しでも繁盛させていただくよう、お手伝いを申し上げている次第です。

こんな観点で厨房のことをシリーズで綴ってまいりたいと思います。

一緒にこの時代を乗り切りませんか?
経営者は孤独。弊社ではいつでもご相談をお伺いいたします。

鈴木賢司飲食総合研究所
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この記事を書いた人

鈴木 賢司

昭和41年生まれ。地元高校を卒業し札幌東京へフレンチを志し修行。

家業である実家の飲食店に帰って20数年。気がつけば社長でした(笑)

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