病院給食・介護施設の給食。解決策は「機器選定」と「仕組み」にあり。

昨今の日本の病院の大きなテーマに入院病棟における給食スタッフの人手不足とコストの上昇で収支がどんどん悪化し病院経営を大きく圧迫してるとのこと。

本日のご相談&見学も帯広市内の某大病院からでございました。
わざわざ事務長様、栄養士である科長様、顧問様と大御所がお越しになられたのです。

聞くところによりますと現在患者様向けの食事はすべて外部の請負企業に委託とのこと。
ところがここに大きなギャップが…..。

栄養士さんが書いた献立と実際に委託企業さんが提供する料理とでは大きな隔たりがあるとのこと。これ業界ではアルアルなんですって。

この辺は業界人としてよくわかる気がいたします。
例えば、同じ食材でもご家庭の奥様と料理人が作った仕上がりが違うなんて言う話し。

プロは毎日食材と格闘しているので「コツ」を習得しています。

どれくらい炒めると野菜の甘味が増すのか?とか、どれくらい煮詰めると味が乗ってくるとか……。この辺は経験の差が味となって表現されるわ

けです。

そこに火力や調理時間、調味料を入れるタイミングが複雑に入り混じってくるので、料理というのは奥深くなっていくわけなんですね。

また、今回の委託企業さんの方でも、なかなか採用しても人が集まらなく、採用コストが大幅増。

おまけに昨今の原材料費の圧迫を受け、入院患者さん一人あたりの食事代にしわ寄せが来てしまうのだそうな。

ましてや世の中は人手不足で、先に上げた「調理の経験」すなわち調理のカンを持っている熟練工が少なくなっているのも我々飲食業界と同じと言えましょう。

よって、経験のある方が少ない病院給食業界ということで、栄養士さんが献立を立てた当初の思惑とは大きなズレが出てくるのは良く理解できます。

私も昨年は腱板断裂で1ヶ月入院。

今年は尿管結石で4日間入院。

と、各医療機関には大変お世話になっている次第でして…。

ま、その入院の楽しみといえば若い看護師さんとお話しするか(かなりオヤジが入ってますが…..)、もしくは食事と決まっています。

そんな感じで、食事に対してのウェイトが高いのは私だけではないはず。

ただ、その食事も「病院食=まずい」「病院食=味が薄い」なんていう印象も大多数の貴兄はあろうかと。

本日の病院様も患者さんにこんなことを言われるとか……。

「これって、前の日炊いたご飯?」

「このおかずいつ作ったの?」などなど。

栄養士さんは食事を通して少しでも精神面からサポートさせていただきたい….。という思いがあっても、委託企業さんにはなかなかその思いが伝わらなく歯痒い思いをされているご様子。

そこで、本日は病院の威信をかけ、なんとか内製化してクオリティの高い食事を提供するにはどうしたら良いだろうか?というご相談でした。(光栄なことです。)

私も飲食店さんのご相談でしたら年がら年中承っているのですが病院からの相談は初めて。
しかも大病院の食事となるとおいそれと無責任な発言もできません。

味や栄養管理はもちろんのこと、我々以上に「安全性」が求められるからです。

私がよくやる芯温調理もレアとかミディアムなんかは病院の食品衛生上、どんな人が食べるかわからない中難しいわけで、しっかりと火を通しつつも美味しい料理が要求されるわけです。

しかしながら、我々のような小さい店で食事されるお客様は少なくても、大病院のように食事される方が大人数でも「厨房機器」や「仕組み」である程度は解決できると自負しています。

この問題、私の頭の中では大型病院=大型ホテルというようなふうに解釈をいたしました。

もちろんすべてがイコールではありません。

先に上げた衛生管理の問題は当然ですが、場合によってはHACCPだってクリアしなくてはならないでしょう。

「いやいや、病院とホテルを一緒に???それは極端すぎるよ〜〜!」なんて関係各位からお叱りのお言葉を頂くかもしれませんが、わたしも「まずは動いてみる」というタイプ。

まずはベースを作ってロジックで考える。
そしてやってみて、うまく行かない部分を再検証という感じ。

黙って、腕組していても始まりません。

たとえば弊社も決して働く従業員さんが溢れかえっているわけではありません。

我々、中小企業にも満たない零細企業はコストとの戦いです。

要は少ない人員で最大限の結果をもたらすか?
その結果とは収益であり、生産性でもあります。

病院も同じこと。

人が集まりにくい職場であるならば、少ないなりに、どう効率化しつつクオリティーを上げていくか?ここを因数分解すれば答えを導き出せると思うのです。

ただし、効率化=美味しさではありません。

何でも効率化すれば美味しいものが出来上がるというものではなく、上記2つは全く切り口が別であります。

そこで一つの解決策として提起させていただくのが「最新鋭の厨房機器を導入し、仕組み化する」というものです。

人が居ないからと言っても、採用に掛けられるお金は限界がありますし、特に若い方は採用したって長く働いてくれるかもわからない昨今の時代です。

人が辞めてしまっては残された人たちは大変な思いをしてしまいますが、厨房機器を上手に組み入れ、仕組みを構築すれば熟練工がいなくてもかなりそれに近づけることが出来ます。

私が提案させていただいた1つは早朝のスタッフが採用しにくい時間帯をいかに少ない人員でオペレーションをまわしつつ、クオリティーアップするというものです。

ここは3Dフリーザーやアルコール凍結機を使ってオペレーションを組み、再加熱などの工程を組むことで面白い結果を生みそうです。

▲弊社が販売する3Dフリーザー。「本当に冷凍?」という驚きの声を頂いてます。

日中は比較的スタッフが集まりやすいので、その時間帯を使って仕込みにウェイトをガンガンかけていきます。

提供時には再加熱。クックチルやクックフリーズを主にスチコンを使って、煮る・焼く・蒸すなどの調理工程のオペレーションを確立させます。

あくまでもこれは一つに過ぎませんがこのような「仕組み」を構築することで、少ない人員でかつ最大限の生産性を上げ、しかも病院食にあるあるな「美味しくない」から脱却し、今より数段美味しくすることも夢ではなくなります。

今回はそこにどんな機器をどのタイミングでどのように使うのかなど、具体的な提案をさせていただきました。

初期投資はかかりますが長い目で見ればランニングで固定費をカバーできるものと思いますし、何よりも従事されるスタッフさんの労力が軽減されることでしょう。

見学いただいた栄養士さんは目を丸くしながら弊社の仕組みや最新機器に驚かれ、プロジェクトが動きそうです。

そんなことで近々、病院内で提供されるメニューを私が預かり、こちらでそれを効率よく、かつ美味しく作ったものをご提案させていただく機会を設ける予定でおります。

問題は飲食店一個店で作った味を病院などの大量調理で応用できるのか?ということ。

それを実現するのが「これ本当に冷凍?」と思ってしまう最新鋭の冷凍システムや「DENBA」を使った電子を大量発生させ、酸化を遅らせるフライヤーなどなど。

▲油の使用量が激減。1/3〜1/4に。「ホントに〜〜?」と思われる方は見学にお越しを(^^)

入院患者様の楽しみの一つである「食事」をどう提供するかが今後のポイントとなります。

最後はお越しになられた事務長様、栄養士様が満面の笑みで帰られたのが印象的でした。

病院内でのゆたかプロジェクト。今後の展開が楽しみです(^^)

弊社ではアルコール凍結機や3Dフリーザーのデモ&販売を行っております。
「この食材を使って加工品を作りたい」とか「急送凍結機を体験したい」など、食材の持ち込みも大歓迎。購入前ももちろんですが「買ってしまったのだけれども宝の持ち腐れ……。」とならないよう購入後もしっかりとフォロー。
飲食店「ゆたか」を経営する北海道フードマイスター鈴木賢司が料理人ならではの発想、切り口で導入機器の稼働率、生産性を上げてまいります。
どんなことでもお気軽にご相談ください。

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一人で考える、から「一緒に考える」へ。
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この記事を書いた人

鈴木 賢司

昭和41年生まれ。地元高校を卒業し札幌東京へフレンチを志し修行。

家業である実家の飲食店に帰って20数年。気がつけば社長でした(笑)

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