はじめてのご法要を迎えられるご家族のために、仕出し店の営業マンは本当に必要なのか?

ゆたかではご法要の営業活動を一斎行っておりません。

一見、生意気に聞こえるかもしれませんがお客様の立場になって考えた結果、これが最善ではないかと考えるからです。

先日のお話し。

お得意先A様からこんな話をいただきました。

なんでも、お得意先A様の友人であるB様がご法要をされたときのお話しです。
B様がA様に法要料理をどこに注文されるか相談されたそうな。

法要相談

それならば!ということで、すかさずA様はありがたいことに第一声に当店の名前を出して頂けたとのこと。

しかしながらB様は熟慮の末、他店でのご法要を選ばれたとのこと。
A様はB様に「なぜゆたかにしなかったの?」とお聞きになられたそうです。

答えは「ゆたかだけが営業に来なかった…..。」ということが理由だったそうです。

私としてはご縁を頂けなかったことに、残念な思いでなりませんでしたが
当店の営業姿勢に「営業をしない営業」というのがあります。

「営業をしない営業」

一般的にご法要に際しては2ヶ月前、早いところでは3ヶ月前から各仕出し店の営業マンがデータをもとに法要をこれから行われるご自宅に向かって、飛び込み営業を行っております。

自社パンフレットを広げ、お客様に料理内容やサービスを熱心にお伝えされることでしょう。
また、他店とのパンフレットを比較しながら、うちはよその仕出し店より〇〇円サービスいたします。というのを繰り広げられてるようです。

法要料理

営業トークも上手。交渉も上手。
そりゃ百戦錬磨の営業マンですから。

営業マンとしては会社から課せられたノルマや目標がございますし、何よりも自身の給与にそれが直結して帰ってくると思うと必死になってきます。そう簡単に諦めません(笑)

私は経営者として考えたときに「売上の追求」という観点では否定も肯定も致しません。その社長、その会社の姿勢、やり方があるわけですから。

しかしながらお客様発想になったときに「ゆたか」として、または私が家族をなくした「喪主」としたならば…。と考えると、重たいものがあります。

「法要も大事だが今は故人との思い出を噛み締めたい。」「葬儀は慌ただしかったので49日までは少し考える時間が欲しい。」などと思われる喪主様も少なくはないはず。

数珠

よって、当店が掲げる「営業をしない営業」とは、お客様のご自宅に電撃訪問‥‥という営業形態ではなく、パンフレットのみの郵送に留めさせて頂き、当店の内容にご興味のあるお客様に対しまして、ご説明に上がらせていただいているという営業方針にさせていただいている次第です。

なので、電話一本もあえてお掛けしません。ひたすら、お客様のご連絡を待つのみとさせて頂いております。

電話

営業マンの現状

全てのお店ではありませんがお客様からよく聞く営業スタイルは以下のような感じです。

  • 次から次へやって来る営業マン
    経営の勉強に行きますとに営業マンは「夜討ち朝駆け攻めろ、攻めろ!」というのがございます。
    売上がほしければ朝だろうと夜だろうと、時間を考えずに動け!ということなのでしょうが、最愛のご家族を無くされて悲しみに打ちひしがれている時にお客様の立場、タイミングを考えずに「ピンポ〜ン」とチャイムが鳴り。「〇〇料理店の者です!」と営業活動のためのご訪問はいかがなものかと思うのです。

    もちろん、法要は必ずするものですので、料理店として情報を提供するのは必要です。
    しかし、伝え方に対して時と場所など御遺族に対するご配慮がもっとあってよいのではと考えます。また、営業マンを雇うことで爆裂的に売上は上がるかもしれません。

    でも、ちょっと待ってください。その経費は誰が払うんでしょうか?
    一人雇用すると月給25万円としても一年間で300万円の会社経費となります。

    会社はお客様から頂いた売上の中から給与を支払うことで経営が成り立ちます。
    給与
    その売上=お客様のお支払額ということになります。
    つまり、メニューのお値段の中に営業マンの人件費が入っているということになるわけです。

よって、当店では営業マンを雇うのではなく、その分食材費にしっかり原価をかけ良いものをお客様に還元し、お届けしたほうが最終的に喜んでいただけると考えています。

料理

  • 値引きが本当にお客様のためになっているだろうか?
    以前お客様から〇〇仕出し店は1人前500円引いてくれるっていうのよ。ゆたかさんはいくら引いてくれるの?
    そんなお話を伺い困惑したことがございました。

    〇〇仕出し店も当店も同じ器を使い、同じ食器、同じサービス、同じ食材、同じ味付けをしているのであれば当然、比較対象として土俵に上がってしまうのはしょうがないことではあります。
    しかしながら、日本全国。同じ店、同じ味、同じサービスは皆無です。チェーン店であっても微妙に味が変わってまいります。
    なので、同じ商品、同じメニュー内容では無いのですから他店と価格の比較されても…。と正直思うところです。また表示価格を高めに設定し、テクニック的に値引いて見せることも可能です。

    当店としては適正な値段をつけさせていただいている以上、現状の企業努力の中ではこれ以上お安くするのが難しい状況です。
    ましてや、お客様の顔色を見て、「このお客様は1,000円引き」「このお客様は500円引き」などということをやっていることで、定価は同じであっても、お客様ひとりひとりの値引きが違う。それって、非常に失礼だと思うんです。
    お客様同士で当店からご注文いただいたお料理が同じにもかかわらず、購入金額が違うと知った時にはお客様自身がショックを受け当店への信頼を失ってしまうと思うのです。

    しかしながら、仕入れの開拓等を今まで以上に行い、もともっと付加価値ある商品をご提供したいと同時に企業努力に務めることも同時に行ってまいります。

まとめ

以上冒頭で述べましたとおり、当店ではお客様から「しつこい」と思われるような営業勧誘は一切行っておりません。
一見生意気にも聞こえるかもしれませんが、お客様の立場になって考えた結果、これが最善ではないかと結論いたしました。

法要

だからといって、何もしないわけではありません。
ご希望のお客様にはご足労をかけますが店内にて無料試食も行っていただいております。(ご希望のお客様はぜひお声がけください)

うちの会社には言葉巧みな営業マンもおりませんし、ノルマさえありません。
舌っ足らずなスタッフとボツトツとした社員で構成しておりますが(笑)、毎日頂いたご注文を一生懸命お作りし、ご指定場所へお届けさせていただいています。

料理

そんなことで、本日のゆたか。早朝から総勢10名でお客様にお答ええすべく、頑張っています!

料理作成風景

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この記事を書いた人

鈴木 賢司

昭和41年生まれ。地元高校を卒業し札幌東京へフレンチを志し修行。

家業である実家の飲食店に帰って20数年。気がつけば社長でした(笑)

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