帆立の「みみ」の有効活用(^^)

北海道を代表する食材の一つ「帆立貝」。

 

刺身でも良し、煮ても焼いても揚げても美味しく、調理法を選びません。

 

ただし………。

 

帆立の外套膜(がいとうまく)つまり「耳」と呼ばれる「ひも」が大量に余ってしまいがち。
みみ ゆたか

サッと湯がいて和え物にしたり干物にしたりと当店でも使うのですがその消費を上回る以上に「ひも」が余ります。

 

 

まかない食に出しても、最近はスタッフも喜ばず…………。ただ捨てるのも勿体ないな〜。

 

 

ということでフレンチ出身の職人らしく「帆立のコンソメスープ」を作ることに致しました。\(^O^)/

 

 

「コンソメスープ」って、言うとたいがいの人は「あれでしょ?あれ!味○素のコンソメ!」と言われる方が大多数。

 

 

あの粉末を煮溶かして提供すると勘違いされているお客様が8割、いや9割以上いらっしゃると思います。(^_^;

 

 

残念なことに、実際に粉末を煮溶かしたものをそのままメニューとしてお出ししているお店もあるくらいですから(笑)

 

 

しかし、本来のコンソメスープとは、牛肉のすね肉などの固くて筋張った部分を粗挽きにし(ここがゼラチン質たっぷりでうま味が強いんです!)、細かく切った野菜や卵白を入れて粘りが出るまで混ぜ合わせ、そこに水を入れてで煮出すんです。

 

 

コトコト火に掛け2〜3時間ほどで黄金色に輝き透き通ったスープに仕上がります。これをフレンチの世界では一般的にコンソメスープと言います。

 

 

和食さんが作る「だし」は鰹節などを使って瞬間的に煮出しますが、フレンチやイタリアンなどの「だし」は数時間掛けて煮出すという違いがありますね。

 

 

さて、このコンソメスープ

 

 

高級ホテルに行って注文しますと1杯、1,000円とか2,000円とかしちゃうんですよ。(^^ゞ

 

 

しっかりと仕込んだコンソメスープは奥深く、何とも言えない上品な牛肉の味が致します。

 

 

私も修業時代はこのスープを仕込むのが常でした。

 

 

仕上がり間近になってスープを少しでも濁してしまうとそれは台無し。

 

 

こっぴどく叱られたものです。(^◇^;)

 

 

で、帆立の話。

 

 

その牛肉で作るコンソメスープを「帆立の耳」で作りました。

 

 

結果は大正解!

 

こんな感じで透き通ったスープに仕上がってます。
ゆたか帆立コンソメ

味も言うことなし!帆立のうま味が凝縮し、一緒に入れた野菜のうま味もバランス良く溶けこんでとってもGood!!

 

 

これにゼラチンを加え、初夏らしい料理に仕上げようと思います。

 

 

「帆立のコンソメジュレ 魚介と地場野菜のカクテル仕立て」です。(^^)

ほら、なんとなくフレンチっぽい名前になったでしょ?(笑)

 

 

本来はカクテルグラスに盛れば格好がよいのですが当店にはないのでワイングラスで代用。
ゆたかカクテル

サッと湯がいた帆立や炙ったサーモン、蒸気で蒸した旬の地場野菜を冷却しグラスに盛り込みます。

 

色鮮やかになるように配慮します。

 

そこに、先程のゼラチンを加えた帆立のコンソメスープを半分くらい流し入れます。
コンソメゼリーゆたか

つぎは一気に冷却。

 

弊社の秘密兵器の登場です!

 

ブラストチラーといいまして、急速冷却機で一気に冷やし固めます。
ゆたか 急速冷却

30分もすれば固まり、なめらかなゼリー状のカクテル料理に変わっていきます。

 

そこに生うにやらトビッコなどを乗せ………
ゆたか うに

金箔をあしらいます。

ゆたか 金粉乗せ

そして、ハーブを飾って出来上がり。

 

なんとな〜く、フレンチっぽくなってきたでしょ?(^o^)
ゆたか帆立のカクテル

最近は私自身、社長業も忙しくキッチンに入ることもめっきりと減ってきました。

 

が、本日はお得意様からコース料理のご予約が入り……

 

 

ならば!ということで腕を振るわせて頂きました。(^^)

 

 

しかし、たまにキッチンに立つと今年入った若いスタッフはキョトンとした顔で私を見つめます。(@_@;)

 

 

それも「このおじさん大丈夫?」って目で………。(汗)

 

 

おいおい、オレも料理人だっちゅうに!σ(^◇^;)

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この記事を書いた人

鈴木 賢司

昭和41年生まれ。地元高校を卒業し札幌東京へフレンチを志し修行。

家業である実家の飲食店に帰って20数年。気がつけば社長でした(笑)

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